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天使のような(前編)

僕はクラスメイトの天草裕里香の家の前で、二度三度と深呼吸をした。

天草裕里香――裕里香さんは、僕らのクラスの人気者、という表現ではとても収まりきらないくらい、誰からも好かれる女の子だ。
ぱっちりとした大きい目、透き通るような白い肌、ふるふるとした唇。スタイルの整った身体、程よく大きい胸。
僕だけじゃない。みんながその美しさに見とれていた。
裕里香さんはクラスの、いや学年中の男子の憧れの的だった。
その容姿だけではない。裕里香さんは天真爛漫で、素直で、誰にでも優しく接する。
嫌味なところがなく、その容姿を鼻にかけるようなこともしない。だから、男性だけではなく女性からも好かれる。

裕里香さんの微笑みは、すべての人を幸せにする。

その微笑みは――そう、まるでそれは天使のような。

それが、裕里香さんに誰もが抱く印象だった。

その裕里香さんが、この一週間ずっと無断で学校を休んでいる。
裕里香さんの親は海外で仕事をしているらしく、ひとりっ子の裕里香さんは実質一人暮らしをしているのだ。
そういったわけで、様子がわからない。

そこで僕らの担任は、クラス委員だった僕に白羽の矢を立てたというわけだ。
「大木、悪いけど、天草の家に行って様子を見に行ってくれないか」

この時ほど心のなかで小躍りしたことはなかった。
ジャンケンで負けてなってしまったクラス委員だったが、初めてなってよかったと思えた瞬間だった。
裕里香さんの家に僕が一人で訪問できるなんて。
周りの男子は「大木、俺に代われよ」なんてやっかみの声をあげたが、ここで譲るわけにはいかない。

というわけで、裕里香さんの家の前までやってきたわけだが――
「いざとなると、なかなか緊張するな……」

とはいえ、ドアの前で立ち尽くしていては変質者だと思われかねない。
僕は意を決してインターホンを押した。
二回。三回。
裕里香さんが出て来る気配は一向になかった。
どうなってるんだろうか。
僕はだんだん、心配になってきた。まさか、この中で裕里香さんが死んでるなんてことは……。

焦って僕は裕里香さんの家のドアノブをガチャガチャ回した。すると――
「あれ、開いてる……?」
開かないと思っていたドアには鍵はかかっていなかった。
悪いとは思ったものの、万が一ということもある。
女の子の家に入る事に若干気が引けたが、あとで謝ればいい。
一週間も無断で休んでいたら心配になるに決まっている。
そんな言い訳を心のなかでしながら、僕は家の中に入ることにした。

玄関どころか家の中全体に明かりがついていない。
もしかして、いないのだろうか。
「お邪魔します」
僕は誰に告げるでもなくつぶやきながら、様子を伺った。
すると、奥の方から声が聞こえるような気がした。

「……んっ…………っ……」
おそらく、裕里香さんだろう。やはり裕里香さんは家にはいるのだ。
「裕里香さん?」
呼んでみたものの、返事はない。相変わらず奥の方からくぐもった声が聞こえるだけだ。

なんとなく嫌な予感がした。
無事を確認しただけでもよかったじゃないか。
帰って、担任にこのことを報告すればいいだけだ。
だが、僕はそこで止まらなかった。いや、止まれなかったのかもしれない。

「裕里香さん」
僕はもう一度名前を呼びながら、声のする方へと歩を進めた。

声のしているのは、この部屋だ。
おそらくここは、裕里香さんの部屋……
そこまで来ると、声の正体は明らかだった。

「あっ……あんっ……んんっ……」
裕里香さんの声。とても艶めかしい、裕里香さんの声が聞こえる。
声の正体は、喘ぎ声だ。

予想外の事態に、僕は自分の鼓動が早くなっていくのを感じた。
今、僕は、聞いてはいけない声を聞いてしまっている。
高校での、いつも明るくて天真爛漫な裕里香さんからは、想像もつかないようないやらしい喘ぎ声が僕の耳に届いてくる。

「ゆ、裕里香さん……?」
僕はドアの外から再三再四呼びかけたが、喘ぎ声だけで応答はない。

裕里香さんが何をしているのか。答えは自明だった。
そこで帰ればよかったのだが、僕は好奇心を抑えられなかった。
裕里香さんの部屋のドアを、そっと半分ほど開ける。

部屋を開けた瞬間、むわっ……と鼻をつくようなメスの匂いがした。
薄暗い部屋。だが、ぬいぐるみや女の子らしい模様のカーテン、ベッド、ひと目見ただけで女の子の部屋だとわかる。
その奥に彼女がいた。

下着姿の裕里香さんは、やっぱりスタイルのいい身体してるんだな、と僕はぼんやりと思った。

膝をついて四つんばいのような姿勢で、壁に左手をついて、壁に掛かっている鏡に自分を映していた。
こちらを見向きもせずに、食い入るように一心不乱に鏡の中の自分を見つめながら、裕里香さんは自分の下着の中に右手を突っ込んでいた。
学校では見たこともないような、快感に呆けた顔。
クチュクチュとも、グチョグチョともつかぬいやらしい音が部屋中に響いていた。

「――っ……」
声も出ない僕の息を呑む音が聞こえたのだろうか。
「彼女から出る」音が止んで、裕里香さんがこっちを見る。

「……誰だぁ?オメーは」
裕里香さんがぞんざいな口調で僕に言う。
暗くて僕のことがわからないのだろうか。

「あ、あの、勝手に入ってしまってごめん。大木順也です。先生に様子を見てくるように言われて、その」
「ああ」
裕里香さんは面倒くさそうに答える。まるでそんなこと興味ない、と言わんばかりだ。
それにしても、裕里香さんの態度がいつもと違いすぎる。
同級生にオナニーをしているところを見つかった女子高生の態度とは思えないほどに。

「あの――」
裕里香さんが僕の言葉を遮って言う。
「ちょうどいいとこに来たわ、お前」
ニヤニヤした顔で裕里香さんが立ち上がってこちらを向く。

下着姿を隠そうともしない裕里香さんを見ながら、僕は目のやり場に困った。
「ちょ、ちょうどいいところって」
「お前、『この身体』のクラスメイトってことだろ?」
「え……?」
言っている意味がよくわからない。この身体、とはなんのことだ。

「この身体つったら、この身体よ。ほれ……んっ」
僕の疑問を見透かすように、言いながら目の前の女の子は下着越しに自分の胸を揉み始める。

「ちょ……ちょっとっ」
「さて、大木だったっけ。俺、誰に見える?」
「え、そ、そりゃ、ゆ……」

裕里香さんです、と言おうとしてやり取りそのものの違和感に気づく。
なぜ裕里香さんが僕に自分の名前を聞くのだろうか。

「黙ってないで、言えよ。誰に見えるんだって」
裕里香さんがイライラした調子で言う。

「裕里香さん……」
「ユリカ……こいつの名前、ユリカって言うんだな」
裕里香さんがニタァ、と美しい顔を歪める。

「で、俺がそのユリカに見えるって?この俺が?」
愉快でたまらないという感じで裕里香さんが聞き返す。
やっぱり、何かおかしい。

「うひゃひゃ!そうかそうか、まあ仕方ねえよなあ、可愛い女の子だもんなあ、俺って。17歳ぐらいか?」
わざとらしくポーズを決めながら、鈴のなるような声で彼女は言う。
「胸だって、よく育ってるしなあ。最近の女子高生は発育がいいよな」
ブラジャーの中に収まった胸を寄せながら、相変わらずのにやけ顔でグラビアアイドルみたいなポーズを決める裕里香さん。

何かがおかしい、という自分の中の警告もあったが、僕はさっきから目の前で繰り広げられている同級生の痴態と、相変わらず部屋に充満した裕里香さんの卑猥な匂いで、知らず知らずのうちに息が荒くなっていた。

「お前、興奮してんのかぁ?目が据わってるぜ」
「……そ、それは」
「まぁ、気持ちはわかるよ。俺だってこんな可愛い子が目の前でこんなことしてたら興奮するわ。チンポ勃ってんだろ?」
「ゆ、裕里香さん……!」
突然クラスのアイドルから飛び出した卑猥な単語に僕は驚愕する。

「いいって、隠さなくても。じゃあサービスしてやるよ。さっきの……んっ……つづ、きっ……はぁ……」
言い終わらないうちに、裕里香さんがその場に腰を降ろし、右手をパンティの中に突っ込む。
同時に左手は、ブラジャーの下から生で胸を揉みしだいていた。

見ちゃいけないような気がして、僕は目を外そうとする。
だめだ。どうしても、凝視してしまう。

「はふっ……ひっ……電流、流れるみたいでっ……気持ちよすぎっ……女の身体すげえよっ……」
パンティの中で動く指が次第に早くなっていく。
先ほど聞いた、ネチョネチョという粘液が掻き回される淫靡な音が、僕の耳にへばり付いてくるようだった。

「あんっ……うっ……いいっ……あはぁぁん」
悩ましげな、言葉にならない声が可愛らしい唇からずっと発せられていた。

「あっ……やべ、またイくっ……おんなの、からだで、あっ、あああっ!」
小さくビクンッ、ビクンッと彼女の身体が数回小刻みに揺れた。

裕里香さんは、快感でだらしなくゆるんだ顔を紅潮させながら、しばらく焦点の合わない目を僕の方に向けていた。

後編につづく
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皆月なななです。 TSF(男が女になっちゃう)小説を書いています! Twitterもよろしくね https://twitter.com/nanana_minaduki

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