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天使のような(後編)

天使のような(前編)はこちら

(2017/5/27追記)
tsuniverseのuniverseさんから挿絵をいただきました!前編及び後編に追加しています。

(あらすじ)
学校を無断で休んでいるクラスメイトの裕里香さんの家まで様子を見に来た「僕」が見たのは、鏡で自分の身体を見ながらオナニーにふける、普段とは全く違う裕里香さんの姿だった。男言葉でわけの分からないことを言い、「僕」の目の前で「サービス」と言ってまたオナニーを再開する裕里香さん。イってしまった裕里香さんを呆然と見つめる「僕」は――。

僕は目の前で起こっていることが、まだ信じられないまま、顔を紅潮させその小さな肩で息をする裕里香さんから目が離せずにいた。裕里香さんは相変わらず、焦点の合わない目を僕のほうに向けていた。

「ゆ、裕里香さん……僕は」
「……ユリカじゃねえよ」
「え?」
「そのユリカとかいう女じゃねえ、って言ってんだよ、俺はよ」
裕里香さんはぼんやりと、うつろな目つきでそう言った。
何を言っているのだろう、裕里香さんは。では、僕の目の前にいるのは誰だというのだ。双子のきょうだいでもいるというのか?

「あの……」
「俺はな、普通のサラリーマンだったんだよ。でも、ある日会社クビになっちまってよ。無職のムサいオッサンなんて、冴えないだろ?」
「ゆ、裕里香さん?」
「それでな、俺はある日願ったんだ。神様ってもんがいるんなら、どうして俺にこんな辛い日々を送らせるんだって。次に生まれてくるときには、金持ちで、美人で、スタイルがよくて、なんの苦労もしねえような良家のお嬢さんに生まれ変わらせてくれ、って願って、いつものように酒を死ぬほど呑んで寝たんだがよ」
「……」
「次の朝気づいたら、この女になってたってわけだ!マジでビックリしたぜ!うひゃひゃ!」
裕里香さんはそう言うと、さも愉快そうに、美しい顔を歪めて笑った。
何を言っているのか、僕は全く理解できなかった。

「まあ、信じられねぇかもしれんが無理に信じてもらう必要はねぇよ」
べろり、と唇を下品に舐めながら裕里香さんが言った。

「どっちにしろ、この女の身体はもう俺のモンだし、それを誰かにわかってもらう必要なんてこれっぽっちもねえからな……あぅん♡」
これ見よがしに裕里香さんがしなを作り、僕に見せつけるように片方の胸を揉んでみせる。

「……つまり、君は裕里香さんじゃなくて、男だっていうのか……」
「あぁ。自分で言うのもなんだが、これといった特技もねぇ、パチンコが趣味の冴えねぇオッサンだよ♪それがこんな身体になるなんて、やっぱ神様っているんだな~♪」
裕里香さん、いや、裕里香さんのカタチをした「男」は下着だけになっている自分の身体を抱きしめ、いやらしく撫で回しながら恍惚とした表情を浮かべた。

「一週間もぶっ続けでオナニーしてるのによ、飽きるどころかどんどん感度が増してきてるんだぜ♪このロリ顔にこのエロボディは反則だろ、な、お前もそう思う……」
「ふざけるな」
「あぁ?」
裕里香さんの顔がこちらを睨む。

「……今言ったことを全部本気で信じているわけじゃないが、裕里香さんの身体はお前みたいなやつが使っていい身体じゃない」
「……なに言ってんだお前……?この女の彼氏かなんかか?偉そうな口利きやがって」
下着姿の裕里香さんが立ち上がり、僕の顔を睨みつけてくる。身長に差があるから、裕里香さんが僕を見上げるような形になるが、その威嚇の動作自体はその辺のヤンキーとまるで変わらない。

ふいに怖い顔をしていた裕里香さんが、顔をいびつに歪ませながら笑う。
「まぁ、そうは言っても俺だってこの身体にどうなってなったかわからねぇしよ、元にどうやったら戻るのか、分かるのか?お前」
ヘラヘラしながら、裕里香さんは僕の顔をさらに覗き込む。

「それに」
「うっ……」
「お前も、この女の身体に反応してんじゃねえか?股間にテント貼りながらなぁ~にが『ふざけるな』だよ」
いつしか僕の身体に密着しながら、裕里香さんはニヤつきながら僕の股間を上から撫で回していた。
僕の身体に、裕里香さんの柔らかそうな胸が下着ごと押しつぶされている。僕の足に、裕里香さんの両足が絡みついて、艶かしく動く。

「や、やめろ」
「大木順也だっけ?自分に素直になれよ、大木。この身体に興味あるんだろ?こんな美少女のイヤらしいところを見せつけられて、興奮しない男なんかいねぇだろ?」
見透かすような目で、実に楽しそうに「男」は裕里香さんの顔を使って笑った。まるで、共犯関係になることを誘っているような、たくらみを持った笑みだった。
裕里香さんは僕の目をいたずらっぽく見据えながら、器用に僕のベルトをカチャカチャと外し、僕のズボンをおろし始めた。

「大木、俺も『男』だからよぉ、この女の身体に興味あんだよ、な?オナニーじゃ、味わえない快感ってあるじゃん?」
裕里香さんの小さな白い手が、下着越しに僕の股間をさらにいやらしく撫で回す。

学校の憧れの的だった裕里香さんが、こんな――こんなことをするなんて、信じられない。
いや、待て、この子は、こいつは、裕里香さんじゃない。落ち着け、落ち着け――

僕が必死に自分を抑えようとしているのを眺めながら、「裕里香さん」は僕の耳元まで口を寄せて、囁くように言った。
「ねぇ、しようよ、順也」

気づくと僕は無我夢中で裕里香さんをベッドに押し倒していた。パステルカラーのビーズクッションが、ベッドから床に落ちた。
「お、おい!危ねえだろ――ひゃあっ……んっ!」
僕は裕里香さんのブラジャーを荒々しく外し、その形の良い乳房を揉みしだいた。はじめて触れる裕里香さんの肌はとても張りがあって、柔らかく、手にしっとりと吸い付くようだった。そのまま僕は裕里香さんの乳首を貪るように舐めた。
「はぁっ……お前、がっつきすぎ……あぅっ!この身体、マジで、感度やべえ、よ……」
また顔を紅潮させながら、裕里香さんが喘ぎ声をあげる。
今の裕里香さんの顔は、学校でいつも見るのとも違い、さっきまでの「男」の顔とも違う、純粋で動物的な「メス」の顔になっていた。それがまた、僕を興奮させてしまった。

「お前が悪いんだぞ、お前が、こんな風に誘ってくるから」
僕は自分への言い訳とも取れるようなことを呟きながら、裕里香さんの下着をおろした。裕里香さんの綺麗な下半身が露出した。
裕里香さんはトロンとした目をして、同じように下着を脱ぐ僕を見ながら言った。
「おお、顔に似合わずお前、チンポでけーじゃん、この身体に……入る……の……」
言いながら、突然裕里香さんは目を見開き、苦しそうにし始めた。
「なっ……!?頭が……頭が痛え……」
「お、おい……」
僕の声など聞こえていないくらい、尋常じゃなく苦しむ裕里香さん。思わず身を起こし、頭を抱えて苦しんでいる。
一体どうしたというのだろう?

「カはっ……ヤべぇ……意識ガ」
そう言うと、ガクッと裕里香さんはうなだれ、無言になった。

「ど、どうしたんだよ……」
うなだれていた裕里香さんが、弱々しく頭を上げる。

「あれ……?私、どうして……」
裕里香さんが呟く。

何か様子がおかしい。これは、もしや――
考え終わるか終わらないかのうちに、裕里香さんが振り向き――僕と目が合った。

瞬間、耳をつんざくような恐怖を伴った悲鳴が聞こえた。



「裕里香さん、落ち着いて、落ち着いて」
「嘘、嘘、なんで、大木くんが、なんで私、裸に」
裕里香さんはパニックになっていた。
先程までと全く違う裕里香さんの様子に、僕は直感的に「元に戻った」と感じていた。

「裕里香さん」
「……信じられない、どうして!?大木くん、ひどいよ」
「裕里香さん、落ち着いて。話をとにかく、聞いて」
僕は「落ち着いて」と繰り返すのが精一杯だったが、客観的に見て全く説得力はなかった。
裕里香さんからすれば、目覚めたら裸にされていて、そこに全裸の僕がいたという状況なのだ。しかも、股間のモノを勃起させながら。

布団で身体を隠しながら、ガクガクと震える裕里香さん。
僕はなだめようとして少し手を伸ばしたが、
「裕里香さん」
「嫌ァァァァァァ!来ないで!来ないでぇ!」
金切り声を上げる裕里香さんに、僕はどうしていいかわからないまま、伸ばした手を降ろした。

いつの間にか、裕里香さんは自分のスマホを手に取っていた。震える手で、パスコードを入れている。
「ゆ、裕里香さん、何を……」
「警察、警察に電話を……助けて……」
「ま、待って……違うんだって!」
「ひっ!」
思わず大声を出した僕に、裕里香さんは怯えたように息を飲む。
しかし、もう一度意を決したように、スマホで番号を押している。
警察を呼ばれるのは、まずい。

「や、やめろっ……」
僕は叫んで、裕里香さんからスマホを取り上げようとしたが、裕里香さんは必死で抵抗した。

「嫌ァッ!近寄らないで!誰か、助けてっ!」
「違う、違うんだって」

しばらく揉み合っていたが、裕里香さんの動きが突然止まった。
「……裕里香さん?」
「……あ、頭が、頭が痛いっ……私……いや、俺……このカラダはもう俺のもんだっ……誰にも渡さねえぞぉっ……嫌ぁっ……誰なの……私が、私じゃなクなルっ……怖いよ、た、助ケテ……」
突然苦しみだす裕里香さん。これは、さっきと同じ――

呆然としていると、「裕里香さん」が言った。
「おいっ、大木っ……、お前も、手を貸せっ」
「て、手を貸せって……」
「嫌ダっ、私、消えソウ、助けて、助ケテエっ」
一人二役のように、「裕里香さん」の中に、あの男と本物の裕里香さんが同居して、せめぎ合っているかのようだった。

助けなきゃ、本物の裕里香さんを、助けなきゃ――
僕はそう思ったが、その思いと裏腹に、僕のもっと深くの声は全く違うことを言っていた。

<裕里香さんを助けてどうなる?お前はさっき、あの女からあんなに嫌がられてたじゃないか>
「違う、あれは、勘違いで」
僕はかすれた声で呟いた。

<勘違い、ね。じゃあ、その勘違いとやらを全部説明したところでどうなる?お前は、結局「あの男」の誘惑に負けて、ヤろうとしてたんじゃないのか?>
「それは……」

<その時点で、もうお前とあの男は共犯関係だ。どうあれ、二人とも裸になってたんだ。誤魔化しきれないぞ。それに――>
「それに?」
僕は、答えがわかっていながら、自分で自分に聞き返した。

<お前は結局、まだ「裕里香さんとヤリたい」って思ってるじゃないか>

僕の中で何かが弾けたような音がした。
僕は苦しんでいる裕里香さんに、近づいた。

「大木っ……あとひと押しなんだっ!オおキくん……タスけテ……手を貸せっ!大木っ!」
くるくると表情を変える裕里香さんの目の前で、僕は言った。

「裕里香さん、ごめん。君にはもう、この世界から消えてほしいんだ」

一瞬の静寂。

「ウソ、ナンデ、オオキ、クン」
次の瞬間、瞳孔を見開いた裕里香さんが、か細い声で、ポツリと言った。
そのまま、裕里香さんは無表情のまま固まった。

何時間も経ったように思えたが、もしかしたら数秒の間だったのかもしれない。

裕里香さんの目に焦点が戻り始め、無表情だった裕里香さんの顔は、ゆっくりと、ゆっくりと、あのニヤけたような嫌らしい笑みに変わっていった。
「頭痛が消えたぁ……」
「裕里香さん」は、嬉しそうに言った。



「サンキュー大木、お前がまさかあそこまで言うとはなあ?おじさんビックリしたぜ♪」
あぐらをかいた裕里香さんが、裸のままで、嬉しそうに自分の胸を揉みながら話している。
僕は自分のしでかしたことの結果を目の前でただ眺めていた。

「お前が最後決めてくれなかったらあいつ、消滅しなかったかもなぁ、このカラダにしがみついてたからよぉ、うひひひ」
裕里香さんの漏らす声は、ゲスな笑い、という表現しか見当たらなかった。
そして、僕はその共犯者だった。

「何がしてほしい?お前は恩人だ、なんでもしてやるよ♪」

僕は渇いた喉から、声を絞り出した。
「――さっきの」
「うん?」
「さっきの、続きだ」

一瞬ぽかん、とした顔をした裕里香さんが、ニタァと口角を吊り上げる。
「お前すげぇわ、この状況でもセックスかよ?俺よりお前のほうが悪党だろ」
「うるさい」
ぼくは無表情で呟いた。

裕里香さんは、ひひっ、とまた堪えきれない笑いを漏らした後、その綺麗な唇から甘えた声を出した。
「ねぇ順也くぅん、あたし、カラダがうずいて、熱くて仕方ないのぉ……さっきは『邪魔』が入っちゃったから……ね、さっきの続きしよぉ?」

言うか言い終わらないかのうちに、僕は裕里香さんを押し倒していた。
「裕里香さん……裕里香さん」
僕は、「その男が入っている器の名前」を何度も呼んだ。

「順也くん♪来てぇ……はやく挿れてぇ♡クフフっ」
何がおかしいというのだろう。変わった女の子だ、裕里香さんは。
僕はトロトロの愛液まみれになった裕里香さんのアソコに、自分のモノをゆっくりと挿入した。
「あっ♪あっ♪入ってくる感覚がするぜ……やべっ……新感覚だ♪腹ん中すげえ満たされてる♪男だったときには絶対味わえない感覚だ♪」

僕は力任せに、何度も何度も腰を振って、裕里香さんの中をかき回した。

「あうぅっ!!あっ、あっ、ぁあっんんっ!んんんっ!この女の身体、今までで、中が一番、……んんっ!んうっ!ぅあっ!」
息も絶え絶えになりながら、僕が腰を振るのにあわせて高く大きな喘ぎ声を出す裕里香さん。
その美しく真珠のように艶やかな肢体は、もうピンク色に染まっていた。

「あんんっ!ぁあっ……あっあっぁ……やべ、こえ、すごいでる、きもち、よすぎるっ」
裕里香さんはもう完全に目の焦点が合っておらず、髪を振り乱した裕里香さんの唾液が口元を伝ってシーツを汚していた。

「イキそう、イくっ、イくぅぅぅっ」
裕里香さんの膣が奥の方からきゅうっ、と締まるような感覚がして、裕里香さんの身体がビクビクと痙攣を起こした。

その締め付けに刺激されて、僕もほぼ同時に絶頂を迎えた。



裕里香さんは、その後も呆けたような顔でだらしなく足を拡げたまま、しばらく身体をヒクヒクと痙攣させていた。
でも、こいつは――裕里香さんじゃない。裕里香さんは、もういない。

この後どうすればいいのか、と思う僕の横で、アイツが言った。
「な、なんか、来る……あっ、あっ、記憶が流れ込んでくる……」
「記憶……?」
「こいつの名前、いや、違う、『私の名前』、『天草裕里香』、こういう字を書くのか……。楽しかった『パパとママとの思い出』、『幼稚園のときの初恋』、『はじめての生理』……『今の学校のクラスメイトのみんな』……、『私の記憶』が、洪水みたいに……ああああっ!!」
裕里香さんの身体に入ったあいつが、さっきイッたときのようにまたビクン、ビクンと痙攣を起こす。

「お、おい……」
僕が驚いていると、裕里香さんが目を開けた。
「……おはよう、『大木くん』♪」
そう言って、そろそろと身体を起こし、小首を傾げてにっこりと笑う裕里香さん。
その表情は、「いつもクラスで見る裕里香さん」そのものだった。

「なっ……」
もしや、また「本物の裕里香さん」が戻ってきたのか。僕が身構えていると、裕里香さんは言った。
「驚かなくてもいいんだよっ♪……俺、こいつの記憶が読めるようになったみてぇだなぁ?」
裕里香さんの顔の表情が、みるみるうちに歪んでいく。あいつの顔だ。

「そ、それじゃあ……」
「大木くん、あなたは私の命の恩人だよ。その上、イかせて貰ったことで『私の記憶』も手に入れられたみたい」
うふふ、と上品に笑う裕里香さん。とても、アイツが裕里香さんの身体に入っているとは思えない仕草だ。
記憶を読んだことで、裕里香さんのように振る舞えるようになったのか……?

「ね、そんなことより」
すすす、と近寄ってきた裕里香さんが、僕の首に手を回しながら言う。

「大木くん、私、まだし足りないの♡もう一回、エッチしよっ!記憶を使って、『裕里香そのもの』になってしてあげる♡」



天草裕里香――裕里香さんは、僕らのクラスの人気者、という表現ではとても収まりきらないくらい、誰からも好かれる女の子だ。
ぱっちりとした大きい目、透き通るような白い肌、ふるふるとした唇。スタイルの整った身体、程よく大きい胸。
僕だけじゃない。みんながその美しさに見とれていた。
裕里香さんはクラスの、いや学年中の男子の憧れの的だった。
その容姿だけではない。裕里香さんは天真爛漫で、素直で、誰にでも優しく接する。
嫌味なところがなく、その容姿を鼻にかけるようなこともしない。だから、男性だけではなく女性からも好かれる。

そんな裕里香さんが、僕と付き合っているという事実は、既に全校生徒の知るところとなっていた。
裕里香さんが皆に伝えたのは、僕が「命の恩人」であり、「本当の自分を取り戻させてくれた」ということだった。
確かに、ウソはついていないかもしれない。だが……。
そのおかげで、僕はクラスの男子からは「一体どんな手を使ったんだ」と羨ましがられ、クラスの女子からも一目置かれる存在になったのだった。

全ては、何事もなかったように。だが、僕は知っている。
裕里香さんはもう、裕里香さんのようで、裕里香さんではないのだ。
僕が、裕里香さんを消したから。

「お、順也。お前の彼女がいるぞ」
クラスメイトにそう言われ、ふと顔を上げると、廊下の向こうでは裕里香さんがクラスの女子と話しているところだった。

「なんか裕里香さん、変わったよな。髪型がポニーテールになったから?いや、それだけじゃなく……なんつーか、エロくなった?っていうか……お前の影響か?」
クラスメイトはからかうつもりで聞いたのだろうが、僕の表情は強張っていた。そう、それは僕の責任だ。
髪型がポニーテールになったのは、単に「アイツ」の好みだからだ。「裕里香さん」の意思じゃない。

裕里香さんはこちらに気づくと、僕の方へ駆け寄ってきた。
「ねえ、放課後、今日も私の家に来るでしょ?それとも順也くんの家に行く?」
ニコニコしながらクラスメイトの前でも、臆面もなく話しかけてくる。
クラスメイトにからかわれるのには、慣れてきた。しかし――

裕里香さんが俺の耳に顔を近づける。女の子の、シャンプーの匂いが鼻をくすぐる。
「俺の身体、楽しみたいだろ?わかってんだよ、悪魔」
そう言うと裕里香さんは、僕にしか見えない角度で、ニヤリとゲスな男の笑いを浮かべた。
この笑いだけは、慣れない。
でも、僕はこの呪縛から、もう逃れられないのかもしれない。

「裕里香~、何話してるの?行っちゃうよ?」
「ごめん~、すぐ行く!」
裕里香さんが応える。

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「アイツらもそのうち喰ってやろうかな」
小声で僕にぼそっ、と呟いたあと、クラスの女子のほうに走って行く、裕里香さん。

「じゃ、また後でね♪順也くん♡」
振り返って、小首を傾げてアイツが微笑む。

裕里香さんの微笑みは、すべての人を幸せにする。
その笑顔は、優しくて、意味ありげで――

そう、まるでそれは、天使のような。

(おわり)
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コメント

この作品めちゃくちゃ好きで定期的に見に来てます!
よければ、ゆりかのその後的なのも書いてもらえませんか??

Re: タイトルなし

こんばんは!ちょっとその後書けるか自信ないですがシナリオ考えてみますね!

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プロフィール

みなづきななな

Author:みなづきななな
皆月なななです。 TSF(男が女になっちゃう)小説を書いています! Twitterもよろしくね https://twitter.com/nanana_minaduki

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