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天使のような(後編)

天使のような(前編)はこちら

(あらすじ)
学校を無断で休んでいるクラスメイトの裕里香さんの家まで様子を見に来た「僕」が見たのは、鏡で自分の身体を見ながらオナニーにふける、普段とは全く違う裕里香さんの姿だった。男言葉でわけの分からないことを言い、「僕」の目の前で「サービス」と言ってまたオナニーを再開する裕里香さん。イってしまった裕里香さんを呆然と見つめる「僕」は――。

僕は目の前で起こっていることが、まだ信じられないまま、顔を紅潮させその小さな肩で息をする裕里香さんから目が離せずにいた。裕里香さんは相変わらず、焦点の合わない目を僕のほうに向けていた。

「ゆ、裕里香さん……僕は」
「……ユリカじゃねえよ」
「え?」
「そのユリカとかいう女じゃねえ、って言ってんだよ、俺はよ」
裕里香さんはぼんやりと、うつろな目つきでそう言った。
何を言っているのだろう、裕里香さんは。では、僕の目の前にいるのは誰だというのだ。双子のきょうだいでもいるというのか?

「あの……」
「俺はな、普通のサラリーマンだったんだよ。でも、ある日会社クビになっちまってよ。無職のムサいオッサンなんて、冴えないだろ?」
「ゆ、裕里香さん?」
「それでな、俺はある日願ったんだ。神様ってもんがいるんなら、どうして俺にこんな辛い日々を送らせるんだって。次に生まれてくるときには、金持ちで、美人で、スタイルがよくて、なんの苦労もしねえような良家のお嬢さんに生まれ変わらせてくれ、って願って、いつものように酒を死ぬほど呑んで寝たんだがよ」
「……」
「次の朝気づいたら、この女になってたってわけだ!マジでビックリしたぜ!うひゃひゃ!」
裕里香さんはそう言うと、さも愉快そうに、美しい顔を歪めて笑った。
何を言っているのか、僕は全く理解できなかった。

「まあ、信じられねぇかもしれんが無理に信じてもらう必要はねぇよ」
べろり、と唇を下品に舐めながら裕里香さんが言った。

「どっちにしろ、この女の身体はもう俺のモンだし、それを誰かにわかってもらう必要なんてこれっぽっちもねえからな……あぅん♡」
これ見よがしに裕里香さんがしなを作り、僕に見せつけるように片方の胸を揉んでみせる。

「……つまり、君は裕里香さんじゃなくて、男だっていうのか……」
「あぁ。自分で言うのもなんだが、これといった特技もねぇ、パチンコが趣味の冴えねぇオッサンだよ♪それがこんな身体になるなんて、やっぱ神様っているんだな~♪」
裕里香さん、いや、裕里香さんのカタチをした「男」は下着だけになっている自分の身体を抱きしめ、いやらしく撫で回しながら恍惚とした表情を浮かべた。

「一週間もぶっ続けでオナニーしてるのによ、飽きるどころかどんどん感度が増してきてるんだぜ♪このロリ顔にこのエロボディは反則だろ、な、お前もそう思う……」
「ふざけるな」
「あぁ?」
裕里香さんの顔がこちらを睨む。

「……今言ったことを全部本気で信じているわけじゃないが、裕里香さんの身体はお前みたいなやつが使っていい身体じゃない」
「……なに言ってんだお前……?この女の彼氏かなんかか?偉そうな口利きやがって」
下着姿の裕里香さんが立ち上がり、僕の顔を睨みつけてくる。身長に差があるから、裕里香さんが僕を見上げるような形になるが、その威嚇の動作自体はその辺のヤンキーとまるで変わらない。

ふいに怖い顔をしていた裕里香さんが、顔をいびつに歪ませながら笑う。
「まぁ、そうは言っても俺だってこの身体にどうなってなったかわからねぇしよ、元にどうやったら戻るのか、分かるのか?お前」
ヘラヘラしながら、裕里香さんは僕の顔をさらに覗き込む。

「それに」
「うっ……」
「お前も、この女の身体に反応してんじゃねえか?股間にテント貼りながらなぁ~にが『ふざけるな』だよ」
いつしか僕の身体に密着しながら、裕里香さんはニヤつきながら僕の股間を上から撫で回していた。
僕の身体に、裕里香さんの柔らかそうな胸が下着ごと押しつぶされている。僕の足に、裕里香さんの両足が絡みついて、艶かしく動く。

「や、やめろ」
「大木順也だっけ?自分に素直になれよ、大木。この身体に興味あるんだろ?こんな美少女のイヤらしいところを見せつけられて、興奮しない男なんかいねぇだろ?」
見透かすような目で、実に楽しそうに「男」は裕里香さんの顔を使って笑った。まるで、共犯関係になることを誘っているような、たくらみを持った笑みだった。
裕里香さんは僕の目をいたずらっぽく見据えながら、器用に僕のベルトをカチャカチャと外し、僕のズボンをおろし始めた。

「大木、俺も『男』だからよぉ、この女の身体に興味あんだよ、な?オナニーじゃ、味わえない快感ってあるじゃん?」
裕里香さんの小さな白い手が、下着越しに僕の股間をさらにいやらしく撫で回す。

学校の憧れの的だった裕里香さんが、こんな――こんなことをするなんて、信じられない。
いや、待て、この子は、こいつは、裕里香さんじゃない。落ち着け、落ち着け――

僕が必死に自分を抑えようとしているのを眺めながら、「裕里香さん」は僕の耳元まで口を寄せて、囁くように言った。
「ねぇ、しようよ、順也」

気づくと僕は無我夢中で裕里香さんをベッドに押し倒していた。パステルカラーのビーズクッションが、ベッドから床に落ちた。
「お、おい!危ねえだろ――ひゃあっ……んっ!」
僕は裕里香さんのブラジャーを荒々しく外し、その形の良い乳房を揉みしだいた。はじめて触れる裕里香さんの肌はとても張りがあって、柔らかく、手にしっとりと吸い付くようだった。そのまま僕は裕里香さんの乳首を貪るように舐めた。
「はぁっ……お前、がっつきすぎ……あぅっ!この身体、マジで、感度やべえ、よ……」
また顔を紅潮させながら、裕里香さんが喘ぎ声をあげる。
今の裕里香さんの顔は、学校でいつも見るのとも違い、さっきまでの「男」の顔とも違う、純粋で動物的な「メス」の顔になっていた。それがまた、僕を興奮させてしまった。

「お前が悪いんだぞ、お前が、こんな風に誘ってくるから」
僕は自分への言い訳とも取れるようなことを呟きながら、裕里香さんの下着をおろした。裕里香さんの綺麗な下半身が露出した。
裕里香さんはトロンとした目をして、同じように下着を脱ぐ僕を見ながら言った。
「おお、顔に似合わずお前、チンポでけーじゃん、この身体に……入る……の……」
言いながら、突然裕里香さんは目を見開き、苦しそうにし始めた。
「なっ……!?頭が……頭が痛え……」
「お、おい……」
僕の声など聞こえていないくらい、尋常じゃなく苦しむ裕里香さん。思わず身を起こし、頭を抱えて苦しんでいる。
一体どうしたというのだろう?

「カはっ……ヤべぇ……意識ガ」
そう言うと、ガクッと裕里香さんはうなだれ、無言になった。

「ど、どうしたんだよ……」
うなだれていた裕里香さんが、弱々しく頭を上げる。

「あれ……?私、どうして……」
裕里香さんが呟く。

何か様子がおかしい。これは、もしや――
考え終わるか終わらないかのうちに、裕里香さんが振り向き――僕と目が合った。

瞬間、耳をつんざくような恐怖を伴った悲鳴が聞こえた。



「裕里香さん、落ち着いて、落ち着いて」
「嘘、嘘、なんで、大木くんが、なんで私、裸に」
裕里香さんはパニックになっていた。
先程までと全く違う裕里香さんの様子に、僕は直感的に「元に戻った」と感じていた。

「裕里香さん」
「……信じられない、どうして!?大木くん、ひどいよ」
「裕里香さん、落ち着いて。話をとにかく、聞いて」
僕は「落ち着いて」と繰り返すのが精一杯だったが、客観的に見て全く説得力はなかった。
裕里香さんからすれば、目覚めたら裸にされていて、そこに全裸の僕がいたという状況なのだ。しかも、股間のモノを勃起させながら。

布団で身体を隠しながら、ガクガクと震える裕里香さん。
僕はなだめようとして少し手を伸ばしたが、
「裕里香さん」
「嫌ァァァァァァ!来ないで!来ないでぇ!」
金切り声を上げる裕里香さんに、僕はどうしていいかわからないまま、伸ばした手を降ろした。

いつの間にか、裕里香さんは自分のスマホを手に取っていた。震える手で、パスコードを入れている。
「ゆ、裕里香さん、何を……」
「警察、警察に電話を……助けて……」
「ま、待って……違うんだって!」
「ひっ!」
思わず大声を出した僕に、裕里香さんは怯えたように息を飲む。
しかし、もう一度意を決したように、スマホで番号を押している。
警察を呼ばれるのは、まずい。

「や、やめろっ……」
僕は叫んで、裕里香さんからスマホを取り上げようとしたが、裕里香さんは必死で抵抗した。

「嫌ァッ!近寄らないで!強姦魔!」
「違う、違うんだって」

しばらく揉み合っていたが、裕里香さんの動きが突然止まった。
「……裕里香さん?」
「……あ、頭が、頭が痛いっ……私……いや、俺……このカラダはもう俺のもんだっ……誰にも渡さねえぞぉっ……嫌ぁっ……誰なの……私が、私じゃなクなルっ……怖いよ、た、助ケテ……」
突然苦しみだす裕里香さん。これは、さっきと同じ――

呆然としていると、「裕里香さん」が言った。
「おいっ、大木っ……、お前も、手を貸せっ」
「て、手を貸せって……」
「嫌ダっ、私、消えソウ、助けて、助ケテエっ」
一人二役のように、「裕里香さん」の中に、あの男と本物の裕里香さんが同居して、せめぎ合っているかのようだった。

助けなきゃ、本物の裕里香さんを、助けなきゃ――
僕はそう思ったが、その思いと裏腹に、僕のもっと深くの声は全く違うことを言っていた。

<裕里香さんを助けてどうなる?お前はさっき、あの女から強姦魔と呼ばれたんだぞ>
「違う、あれは、勘違いで」
僕はかすれた声で呟いた。

<勘違い、ね。じゃあ、その勘違いとやらを全部説明したところでどうなる?お前は、結局「あの男」の誘惑に負けて、ヤろうとしてたんじゃないのか?>
「それは……」

<その時点で、もうお前とあの男は共犯関係だ。どうあれ、二人とも裸になってたんだ。誤魔化しきれないぞ。それに――>
「それに?」
僕は、答えがわかっていながら、自分で自分に聞き返した。

<お前は結局、まだ「裕里香さんとヤリたい」って思ってるじゃないか>

僕の中で何かが弾けたような音がした。
僕は苦しんでいる裕里香さんに、近づいた。

「大木っ……あとひと押しなんだっ!オおキくん……タスけテ……手を貸せっ!大木っ!」
くるくると表情を変える裕里香さんの目の前で、僕は言った。

「裕里香さん、ごめん。君にはもう、この世界から消えてほしいんだ」

一瞬の静寂。

「ウソ、ナンデ、オオキ、クン」
次の瞬間、瞳孔を見開いた裕里香さんが、か細い声で、ポツリと言った。
そのまま、裕里香さんは無表情のまま固まった。

何時間も経ったように思えたが、もしかしたら数秒の間だったのかもしれない。

裕里香さんの目に焦点が戻り始め、無表情だった裕里香さんの顔は、ゆっくりと、ゆっくりと、あのニヤけたような嫌らしい笑みに変わっていった。
「頭痛が消えたぁ……」
「裕里香さん」は、嬉しそうに言った。



「サンキュー大木、お前がまさかあそこまで言うとはなあ?おじさんビックリしたぜ♪」
あぐらをかいた裕里香さんが、裸のままで、嬉しそうに自分の胸を揉みながら話している。
僕は自分のしでかしたことの結果を目の前でただ眺めていた。

「お前が最後決めてくれなかったらあいつ、消滅しなかったかもなぁ、このカラダにしがみついてたからよぉ、うひひひ」
裕里香さんの漏らす声は、ゲスな笑い、という表現しか見当たらなかった。
そして、僕はその共犯者だった。

「何がしてほしい?お前は恩人だ、なんでもしてやるよ♪」

僕は渇いた喉から、声を絞り出した。
「――さっきの」
「うん?」
「さっきの、続きだ」

一瞬ぽかん、とした顔をした裕里香さんが、ニタァと口角を吊り上げる。
「お前すげぇわ、この状況でもセックスかよ?俺よりお前のほうが悪党だろ」
「うるさい」
ぼくは無表情で呟いた。

裕里香さんは、ひひっ、とまた堪えきれない笑いを漏らした後、その綺麗な唇から甘えた声を出した。
「ねぇ順也くぅん、あたし、カラダがうずいて、熱くて仕方ないのぉ……さっきは『邪魔』が入っちゃったから……ね、さっきの続きしよぉ?」

言うか言い終わらないかのうちに、僕は裕里香さんを押し倒していた。
「裕里香さん……裕里香さん」
僕は、「その男が入っている器の名前」を何度も呼んだ。

「順也くん♪来てぇ……はやく挿れてぇ♡クフフっ」
何がおかしいというのだろう。変わった女の子だ、裕里香さんは。
僕はトロトロの愛液まみれになった裕里香さんのアソコに、自分のモノをゆっくりと挿入した。
「あっ♪あっ♪入ってくる感覚がするぜ……やべっ……新感覚だ♪腹ん中すげえ満たされてる♪男だったときには絶対味わえない感覚だ♪」

僕は力任せに、何度も何度も腰を振って、裕里香さんの中をかき回した。

「あうぅっ!!あっ、あっ、ぁあっんんっ!んんんっ!この女の身体、今までで、中が一番、……んんっ!んうっ!ぅあっ!」
息も絶え絶えになりながら、僕が腰を振るのにあわせて高く大きな喘ぎ声を出す裕里香さん。
その美しく真珠のように艶やかな肢体は、もうピンク色に染まっていた。

「あんんっ!ぁあっ……あっあっぁ……やべ、こえ、すごいでる、きもち、よすぎるっ」
裕里香さんはもう完全に目の焦点が合っておらず、髪を振り乱した裕里香さんの唾液が口元を伝ってシーツを汚していた。

「イキそう、イくっ、イくぅぅぅっ」
裕里香さんの膣が奥の方からきゅうっ、と締まるような感覚がして、裕里香さんの身体がビクビクと痙攣を起こした。

その締め付けに刺激されて、僕もほぼ同時に絶頂を迎えた。



裕里香さんは、その後も呆けたような顔でだらしなく足を拡げたまま、しばらく身体をヒクヒクと痙攣させていた。
でも、こいつは――裕里香さんじゃない。裕里香さんは、もういない。

この後どうすればいいのか、と思う僕の横で、アイツが言った。
「な、なんか、来る……あっ、あっ、記憶が流れ込んでくる……」
「記憶……?」
「こいつの名前、いや、違う、『私の名前』、『天草裕里香』、こういう字を書くのか……。楽しかった『パパとママとの思い出』、『幼稚園のときの初恋』、『はじめての生理』……『今の学校のクラスメイトのみんな』……、『私の記憶』が、洪水みたいに……ああああっ!!」
裕里香さんの身体に入ったあいつが、さっきイッたときのようにまたビクン、ビクンと痙攣を起こす。

「お、おい……」
僕が驚いていると、裕里香さんが目を開けた。
「……おはよう、『大木くん』♪」
そう言って、そろそろと身体を起こし、小首を傾げてにっこりと笑う裕里香さん。
その表情は、「いつもクラスで見る裕里香さん」そのものだった。

「なっ……」
もしや、また「本物の裕里香さん」が戻ってきたのか。僕が身構えていると、裕里香さんは言った。
「驚かなくてもいいんだよっ♪……俺、こいつの記憶が読めるようになったみてぇだなぁ?」
裕里香さんの顔の表情が、みるみるうちに歪んでいく。あいつの顔だ。

「そ、それじゃあ……」
「大木くん、あなたは私の命の恩人だよ。その上、イかせて貰ったことで『私の記憶』も手に入れられたみたい」
うふふ、と上品に笑う裕里香さん。とても、アイツが裕里香さんの身体に入っているとは思えない仕草だ。
記憶を読んだことで、裕里香さんのように振る舞えるようになったのか……?

「ね、そんなことより」
すすす、と近寄ってきた裕里香さんが、僕の首に手を回しながら言う。

「大木くん、私、まだし足りないの♡もう一回、エッチしよっ!記憶を使って、『裕里香そのもの』になってしてあげる♡」



天草裕里香――裕里香さんは、僕らのクラスの人気者、という表現ではとても収まりきらないくらい、誰からも好かれる女の子だ。
ぱっちりとした大きい目、透き通るような白い肌、ふるふるとした唇。スタイルの整った身体、程よく大きい胸。
僕だけじゃない。みんながその美しさに見とれていた。
裕里香さんはクラスの、いや学年中の男子の憧れの的だった。
その容姿だけではない。裕里香さんは天真爛漫で、素直で、誰にでも優しく接する。
嫌味なところがなく、その容姿を鼻にかけるようなこともしない。だから、男性だけではなく女性からも好かれる。

そんな裕里香さんが、僕と付き合っているという事実は、既に全校生徒の知るところとなっていた。
裕里香さんが皆に伝えたのは、僕が「命の恩人」であり、「本当の自分を取り戻させてくれた」ということだった。
確かに、ウソはついていないかもしれない。だが……。
そのおかげで、僕はクラスの男子からは「一体どんな手を使ったんだ」と羨ましがられ、クラスの女子からも一目置かれる存在になったのだった。

全ては、何事もなかったように。だが、僕は知っている。
裕里香さんはもう、裕里香さんのようで、裕里香さんではないのだ。
僕が、裕里香さんを消したから。

「お、順也。お前の彼女がいるぞ」
クラスメイトにそう言われ、ふと顔を上げると、廊下の向こうでは裕里香さんがクラスの女子と話しているところだった。

「なんか裕里香さん、変わったよな。髪型がポニーテールになったから?いや、それだけじゃなく……なんつーか、エロくなった?っていうか……お前の影響か?」
クラスメイトはからかうつもりで聞いたのだろうが、僕の表情は強張っていた。そう、それは僕の責任だ。
髪型がポニーテールになったのは、単に「アイツ」の好みだからだ。「裕里香さん」の意思じゃない。

裕里香さんはこちらに気づくと、僕の方へ駆け寄ってきた。
「ねえ、放課後、今日も私の家に来るでしょ?それとも順也くんの家に行く?」
ニコニコしながらクラスメイトの前でも、臆面もなく話しかけてくる。
クラスメイトにからかわれるのには、慣れてきた。しかし――

裕里香さんが俺の耳に顔を近づける。女の子の、シャンプーの匂いが鼻をくすぐる。
「俺の身体、楽しみたいだろ?わかってんだよ、悪魔」
そう言うと裕里香さんは、僕にしか見えない角度で、ニヤリとゲスな男の笑いを浮かべた。
この笑いだけは、慣れない。
でも、僕はこの呪縛から、もう逃れられないのかもしれない。

「裕里香~、何話してるの?行っちゃうよ?」
「ごめん~、すぐ行く!」
裕里香さんが応える。

「アイツらもそのうち喰ってやろうかな」
小声で僕にぼそっ、と呟いたあと、クラスの女子のほうに走って行く、裕里香さん。

「じゃ、また後でね♪順也くん♡」
振り返って、小首を傾げてアイツが微笑む。

裕里香さんの微笑みは、すべての人を幸せにする。
その笑顔は、優しくて、意味ありげで――

そう、まるでそれは、天使のような。

(おわり)
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憑依リレー小説を寄稿しました

もう先週のことになってしまったのですが、憑依好きの人さんのサイト「憑依ラヴァー」に、憑依リレー小説を寄稿させて頂きました!
ひょんなことから憑依薬を手に入れた主人公の行動はどんどんエスカレートしていって……というお話になっています。

憑依リレー小説【第四弾】(皆月ななな)
今回はトリを務めさせて頂きました!ドキドキです。

ぜひ第一弾からお読みください!
【第一弾】(井澄ミストさん、挿絵REIAさん)
【第二弾】(あるべんとさん)
【第三弾】(憑依好きの人さん)

天使のような(前編)

僕はクラスメイトの天草裕里香の家の前で、二度三度と深呼吸をした。

天草裕里香――裕里香さんは、僕らのクラスの人気者、という表現ではとても収まりきらないくらい、誰からも好かれる女の子だ。
ぱっちりとした大きい目、透き通るような白い肌、ふるふるとした唇。スタイルの整った身体、程よく大きい胸。
僕だけじゃない。みんながその美しさに見とれていた。
裕里香さんはクラスの、いや学年中の男子の憧れの的だった。
その容姿だけではない。裕里香さんは天真爛漫で、素直で、誰にでも優しく接する。
嫌味なところがなく、その容姿を鼻にかけるようなこともしない。だから、男性だけではなく女性からも好かれる。

裕里香さんの微笑みは、すべての人を幸せにする。

その微笑みは――そう、まるでそれは天使のような。

それが、裕里香さんに誰もが抱く印象だった。

その裕里香さんが、この一週間ずっと無断で学校を休んでいる。
裕里香さんの親は海外で仕事をしているらしく、ひとりっ子の裕里香さんは実質一人暮らしをしているのだ。
そういったわけで、様子がわからない。

そこで僕らの担任は、クラス委員だった僕に白羽の矢を立てたというわけだ。
「大木、悪いけど、天草の家に行って様子を見に行ってくれないか」

この時ほど心のなかで小躍りしたことはなかった。
ジャンケンで負けてなってしまったクラス委員だったが、初めてなってよかったと思えた瞬間だった。
裕里香さんの家に僕が一人で訪問できるなんて。
周りの男子は「大木、俺に代われよ」なんてやっかみの声をあげたが、ここで譲るわけにはいかない。

というわけで、裕里香さんの家の前までやってきたわけだが――
「いざとなると、なかなか緊張するな……」

とはいえ、ドアの前で立ち尽くしていては変質者だと思われかねない。
僕は意を決してインターホンを押した。
二回。三回。
裕里香さんが出て来る気配は一向になかった。
どうなってるんだろうか。
僕はだんだん、心配になってきた。まさか、この中で裕里香さんが死んでるなんてことは……。

焦って僕は裕里香さんの家のドアノブをガチャガチャ回した。すると――
「あれ、開いてる……?」
開かないと思っていたドアには鍵はかかっていなかった。
悪いとは思ったものの、万が一ということもある。
女の子の家に入る事に若干気が引けたが、あとで謝ればいい。
一週間も無断で休んでいたら心配になるに決まっている。
そんな言い訳を心のなかでしながら、僕は家の中に入ることにした。

玄関どころか家の中全体に明かりがついていない。
もしかして、いないのだろうか。
「お邪魔します」
僕は誰に告げるでもなくつぶやきながら、様子を伺った。
すると、奥の方から声が聞こえるような気がした。

「……んっ…………っ……」
おそらく、裕里香さんだろう。やはり裕里香さんは家にはいるのだ。
「裕里香さん?」
呼んでみたものの、返事はない。相変わらず奥の方からくぐもった声が聞こえるだけだ。

なんとなく嫌な予感がした。
無事を確認しただけでもよかったじゃないか。
帰って、担任にこのことを報告すればいいだけだ。
だが、僕はそこで止まらなかった。いや、止まれなかったのかもしれない。

「裕里香さん」
僕はもう一度名前を呼びながら、声のする方へと歩を進めた。

声のしているのは、この部屋だ。
おそらくここは、裕里香さんの部屋……
そこまで来ると、声の正体は明らかだった。

「あっ……あんっ……んんっ……」
裕里香さんの声。とても艶めかしい、裕里香さんの声が聞こえる。
声の正体は、喘ぎ声だ。

予想外の事態に、僕は自分の鼓動が早くなっていくのを感じた。
今、僕は、聞いてはいけない声を聞いてしまっている。
高校での、いつも明るくて天真爛漫な裕里香さんからは、想像もつかないようないやらしい喘ぎ声が僕の耳に届いてくる。

「ゆ、裕里香さん……?」
僕はドアの外から再三再四呼びかけたが、喘ぎ声だけで応答はない。

裕里香さんが何をしているのか。答えは自明だった。
そこで帰ればよかったのだが、僕は好奇心を抑えられなかった。
裕里香さんの部屋のドアを、そっと半分ほど開ける。

部屋を開けた瞬間、むわっ……と鼻をつくようなメスの匂いがした。
薄暗い部屋。だが、ぬいぐるみや女の子らしい模様のカーテン、ベッド、ひと目見ただけで女の子の部屋だとわかる。
その奥に彼女がいた。

下着姿の裕里香さんは、やっぱりスタイルのいい身体してるんだな、と僕はぼんやりと思った。

膝をついて四つんばいのような姿勢で、壁に左手をついて、壁に掛かっている鏡に自分を映していた。
こちらを見向きもせずに、食い入るように一心不乱に鏡の中の自分を見つめながら、裕里香さんは自分の下着の中に右手を突っ込んでいた。
学校では見たこともないような、快感に呆けた顔。
クチュクチュとも、グチョグチョともつかぬいやらしい音が部屋中に響いていた。

「――っ……」
声も出ない僕の息を呑む音が聞こえたのだろうか。
「彼女から出る」音が止んで、裕里香さんがこっちを見る。

「……誰だぁ?オメーは」
裕里香さんがぞんざいな口調で僕に言う。
暗くて僕のことがわからないのだろうか。

「あ、あの、勝手に入ってしまってごめん。大木順也です。先生に様子を見てくるように言われて、その」
「ああ」
裕里香さんは面倒くさそうに答える。まるでそんなこと興味ない、と言わんばかりだ。
それにしても、裕里香さんの態度がいつもと違いすぎる。
同級生にオナニーをしているところを見つかった女子高生の態度とは思えないほどに。

「あの――」
裕里香さんが僕の言葉を遮って言う。
「ちょうどいいとこに来たわ、お前」
ニヤニヤした顔で裕里香さんが立ち上がってこちらを向く。

下着姿を隠そうともしない裕里香さんを見ながら、僕は目のやり場に困った。
「ちょ、ちょうどいいところって」
「お前、『この身体』のクラスメイトってことだろ?」
「え……?」
言っている意味がよくわからない。この身体、とはなんのことだ。

「この身体つったら、この身体よ。ほれ……んっ」
僕の疑問を見透かすように、言いながら目の前の女の子は下着越しに自分の胸を揉み始める。

「ちょ……ちょっとっ」
「さて、大木だったっけ。俺、誰に見える?」
「え、そ、そりゃ、ゆ……」

裕里香さんです、と言おうとしてやり取りそのものの違和感に気づく。
なぜ裕里香さんが僕に自分の名前を聞くのだろうか。

「黙ってないで、言えよ。誰に見えるんだって」
裕里香さんがイライラした調子で言う。

「裕里香さん……」
「ユリカ……こいつの名前、ユリカって言うんだな」
裕里香さんがニタァ、と美しい顔を歪める。

「で、俺がそのユリカに見えるって?この俺が?」
愉快でたまらないという感じで裕里香さんが聞き返す。
やっぱり、何かおかしい。

「うひゃひゃ!そうかそうか、まあ仕方ねえよなあ、可愛い女の子だもんなあ、俺って。17歳ぐらいか?」
わざとらしくポーズを決めながら、鈴のなるような声で彼女は言う。
「胸だって、よく育ってるしなあ。最近の女子高生は発育がいいよな」
ブラジャーの中に収まった胸を寄せながら、相変わらずのにやけ顔でグラビアアイドルみたいなポーズを決める裕里香さん。

何かがおかしい、という自分の中の警告もあったが、僕はさっきから目の前で繰り広げられている同級生の痴態と、相変わらず部屋に充満した裕里香さんの卑猥な匂いで、知らず知らずのうちに息が荒くなっていた。

「お前、興奮してんのかぁ?目が据わってるぜ」
「……そ、それは」
「まぁ、気持ちはわかるよ。俺だってこんな可愛い子が目の前でこんなことしてたら興奮するわ。チンポ勃ってんだろ?」
「ゆ、裕里香さん……!」
突然クラスのアイドルから飛び出した卑猥な単語に僕は驚愕する。

「いいって、隠さなくても。じゃあサービスしてやるよ。さっきの……んっ……つづ、きっ……はぁ……」
言い終わらないうちに、裕里香さんがその場に腰を降ろし、右手をパンティの中に突っ込む。
同時に左手は、ブラジャーの下から生で胸を揉みしだいていた。

見ちゃいけないような気がして、僕は目を外そうとする。
だめだ。どうしても、凝視してしまう。

「はふっ……ひっ……電流、流れるみたいでっ……気持ちよすぎっ……女の身体すげえよっ……」
パンティの中で動く指が次第に早くなっていく。
先ほど聞いた、ネチョネチョという粘液が掻き回される淫靡な音が、僕の耳にへばり付いてくるようだった。

「あんっ……うっ……いいっ……あはぁぁん」
悩ましげな、言葉にならない声が可愛らしい唇からずっと発せられていた。

「あっ……やべ、またイくっ……おんなの、からだで、あっ、あああっ!」
小さくビクンッ、ビクンッと彼女の身体が数回小刻みに揺れた。

裕里香さんは、快感でだらしなくゆるんだ顔を紅潮させながら、しばらく焦点の合わない目を僕の方に向けていた。

後編につづく

幽体の魔法陣

博也と俺はいわゆる「悪友」というやつだ。
タイプは全然違うのだが、妙にウマが合って、中学の時からずっとつるんでいる。
博也はちょっと変わったものが好きだ。
オカルト、とでも言うんだろうか。
占いとか、催眠術とか、超常現象とか、そういう現実にはあり得ないと思えるようなことを次々見つけてくる。

たいていは何も起こらないのだが、博也は凝りだすと止まらない性格なのか、本格的なセットとか衣装とかをそろえだすので、見ていて飽きない。
社会人になった今では、金もあるのでその趣味に拍車がかかり始めているのだ。

「それで、今回は何なんだ?」
ここは博也の部屋――マンションの一室。
何の変哲もない部屋なのだが、今日はある一点だけ違っているところがあった。
部屋の中央に――こう、何とも言えない紋様が描かれた絨毯が敷かれているのだ。
魔法陣、なのだろうか。幾何学的で、「曼荼羅」のような印象も受けるその紋様を見ながら俺は言った。

「悠斗、これが気になるだろ?」
「まあ、こんなものがいきなりあったら、目につくよな」
「これはな、幽体になれる魔法陣の描かれた絨毯らしいんだ」
「はあ?幽体?」

博也の話ではこうだ。
いつものように怪しいオカルトショップを物色していると、この紋様が描かれた魔法陣が手に入った。
店主の説明では、これは海外から仕入れたものらしい。

「だったら、俺をわざわざ呼ばなくても自分で使ってみればいいだろ」
「いや、そういうわけにもいかなくてな。俺が使っても、何も起きなかったんだよ」
「じゃあ、パチもんだったんだろ?俺忙しいから帰るぞ」
そう言って俺は立ち上がり、帰ろうとする。

「ちょ、ちょっと待った!いや、なんでも、『魔術を信じない人間に、魔術は本当にあるということを身をもって知らしめるために作られた』らしいんだよ」
「はあ……」
「悠斗、お前魔術を信じてないだろ!だから、お前なら効くんじゃないかと思って」
そうなのだ。俺は博也と違って、まったくこの手のオカルトを信じていない。

「じゃ、これで俺に何も起きなかったら、お前もそろそろこういうのから卒業しろよ」
「うっ……」
「こんなのに金使ってたらさ、いつまでたってもあゆみちゃんも振り向いてくれないぞ?」
このアパートは博也の会社の社宅なのだが、一つ隣に住む会社の後輩の女の子が博也のお気に入りなのだ。
俺も一度、すれ違ったことがある。愛想のいい子なのだが、博也の話ではガードが固すぎて、デートに誘っても全然振り向いてくれないということなのだ。

「……わかったよ、でも、これは本物だから!お前もびっくりするはずだから」
「で、どうすればいいんだ?この上に乗ればいいのか?」
俺は博也の話を遮るようにして、俺は絨毯の上に乗る。

「あ、ああそうだよ。じゃあ、そのままちょっと待っててくれるか?」
言われて俺は、しばらく待つ。

「……あっ」
博也がハッとしたような声をあげる。

「どうした?博也……」
声を出して、俺は違和感を感じる。
なんか、自分の声が……小さいというか、「薄い」というような感じを受けたのだ。
ふと自分の身体を見ると、その違和感の正体が直感的に分かった。

薄い。薄いのだ。
自分の身体が、半透明になっている。
しかも、どんどんと薄くなって、もはや自分の身体を通り越して地面が透けて見えるまでになっていた。

「な、なんだよ!コレ」
「お、落ち着け悠斗!これが……これが幽体になるってことなんだって」
「そんな、」

本当にそんなことがあるなんて。そう口にしたはずだったのだが、自分で自分の発した声がほとんど聞こえなくなっていた。

(おい、聞こえてるのか)
「悠斗?おい、悠斗、どこかにいるんだろ?」
(博也!俺はここだって!魔法陣の上にいるだろ)
「おーい、悠斗!どこ行った?」
(聞こえないのかよ!)

自分では大声で叫んでいるつもりだ。
しかしどうやら博也には、俺の声が聞こえていないみたいだった。

混乱した博也は、アパートから俺を探しに出て行ってしまった。
(困ったな、これじゃ、どうやって戻るのかわからないぞ)
俺は独り言を言うが、その声すら自分に聞こえない。
まさか、本当に幽体になってしまうなんて。

(待てよ。もしかして……)
俺はあることを思いついて、壁の方に近づいていく。
壁にどんどん、近づいて……壁に当たる感覚のしないまま、壁があるはずの空間に自分がめり込んでいく。
やっぱりだ。壁なんか幽体には関係ないんだな。
ずぶずぶとめり込んだと思ったら、その先にあるのは……

---

(ここが、あゆみちゃんの部屋か)
そう、俺はあゆみちゃんの部屋に来ていた。
博也がひそかに想いを寄せるあゆみちゃん。

(ん?でも、あゆみちゃん今はいないのか?)
そう思って帰ろうとすると、遠くの方から水の流れるような音が聞こえる。
そちらの方角に目を向けると……。
あっちは、もしかして浴室だろうか。
ふわふわとした足取りで俺がそちらの方に移動してみると、果たして浴室に、シャワーを浴びている人影があった。

まさかこのタイミングでシャワーを浴びてるなんて!
もっと見たい。そう思った俺は、さっきの要領でずぶずぶとすりガラスの戸を越えていった。

博也が好意を寄せるのも無理はない。
きゅっとくびれたウエスト。つるつると玉のような肌。つんと突き出た柔らかそうなお尻。
そして、なんといってもお椀のような形のいいおっぱいに、お湯を浴びて桜色に上気した乳首――
理想の肉体がそこにあった。

(おおおっ)
思わず声をあげてしまい、俺は慌てて口をおさえる。
あ、そうか、今は幽体だから聞こえてないんだった……
まじまじと、近くに寄って後ろからあゆみちゃんの身体を眺める。
(本当に、いいカラダしてるなあ)
触れたいと思うが、幽体の今はそれは叶わない。

ご機嫌がいいのか、鼻歌交じりで身体に付けた泡を洗い流している。
泡が落ちると、水滴が玉のように弾かれていく肌。本当に綺麗な肌だ。
俺が夢中になって眺めていると、あゆみちゃんがふいに振り返る。
(うわわっ、危ない!!)
ぶつかる!!

---

俺は思わず目を閉じる。
その瞬間、俺は浴槽で尻もちをついてしまった。
尾てい骨のあたりに、激痛が走る。

「いたたたたた……えっ?」
思わず、声をあげて俺はハッとする。
ほんの1秒足らずの間に色々な思いがよぎる。
そもそも、俺は幽体のはずだから、あゆみちゃんとぶつかるなんてことはないはずだ。
何で俺が尻もちをついてるんだ?なぜ痛みを感じた?
それに、あゆみちゃんはどこへ?
そして何より、今俺があげた声、なんか高くなかったか?

とにかく、一度立ち上がらなければ……
そう思って手をつこうと下を向いた俺の目に飛び込んできたのは――
白くて、まだ湯気のでている身体。
その胸は、まるで自分の胸じゃないみたいに膨らんでいて。
形のいいその胸の先には、つんと桜色の、男とは思えないぷっくり膨らんだ乳首がついていた。

「えっ?ええええええっ!?」
びっくりして声をあげ、その自分の声にもう一度びっくりして絶叫する。
高いというか、これじゃまるで、女の声……?

そうだ!あゆみちゃんは?この状況をどう言い訳すれば……
焦って後ろを振り返ると、そこには案の定驚愕した顔の、裸のあゆみちゃんが。
綺麗な長い黒髪が、シャワーを浴びて濡れている感じもセクシーだ。
って、そうじゃなくて!

「ご、ごめん!これはその……」
思わず手をあわせて謝ると、あゆみちゃんも手を合わせて謝っている。
何もあゆみちゃんが謝ることはないのに。……あれ?

落ち着いてみると、裸のあゆみちゃんは俺と全く同じ行動を取っていた。
俺が右手を挙げれば同じように、おずおずと右手を挙げる。
そのまま右手をふると、あゆみちゃんもふるふると手を振っている。
俺がぎこちない笑顔を向けると、あゆみちゃんもぎこちない笑顔。
「これ、鏡……?」

俺は手をついて確認する。やっぱりこれは、鏡だ。
「ってことは……」

その後は声にならない。俺、女に……あゆみちゃんになってる!?
もう一度自分の身体を見る。
先程と同じように存在感を主張している俺の胸。
水滴をまとった俺の胸は、俺の動きに合わせてふるふると柔らかく、小さく震えていた。
ごくり、と喉をならす俺。自分の胸が、いや、あゆみちゃんの胸がドキドキしているのが伝わってくる。

そっと小さな手で触れてみる。さわられた感触。
右の人差し指だけで、谷間のあたりをつん、と触ってみる。
柔らかな肌を押された感覚と、マシュマロのような弾力が同時に伝わってくる。
少しずらして、自分の右の乳首に軽く触れる。

「んっ……」
微かな電流が流れたような感覚に、思わず身体全体がぴくん、と反応する。
「これが……女の子のカラダ?」

左手の指も、左の乳首に添え、軽く触れる。
「はううっ……」
くすぐったいような、ちりちりとした感覚。
堪らなくなって、しばらく右の人差し指で右の乳首を、左の人差し指で左の乳首を、ころころと転がす。
「はああん」
ため息混じりに自分の口から、女みたいな喘ぎ声が聞こえてくる。
その自分の声に興奮して、自分の乳首が更に硬くなっていくのを感じていた。

もっと刺激がほしい。俺は自分の乳首を人差し指と親指の腹を使って少し強めにつまむ。

「あうううっ」

さっきよりも強く、電流が流れる。
頭の中を快感物質が支配する。
俺、あゆみちゃんの指で、あゆみちゃんの乳首を弄ってる。
あゆみちゃんの快感を、感じちゃってる。
あゆみちゃんの声で、喘いじゃってる。
やばい。これ、おかしくなる。

「そうだ……」
ぼんやりしてきた頭で俺は考える。
胸だけじゃない。今俺は、全身が女。全身が、あゆみちゃんなんだ。
当然、下のほうも……

膝をついた姿勢でいた俺は、一旦乳首を弄るのをやめて、あぐらをかく。
眩しいばかりの女の太ももが自分の視界に入り、一瞬目のやり場に困る。が、
「いやいや、今これ、俺のカラダだから……」
そうだ。自分の身体に恥ずかしくなってどうする、俺。

それでも、今は自分の身体とはいえ、なんとなくあゆみちゃんの秘密を見てしまうのは申し訳ないような気がする。
「と、とにかく触るぞ……」
普段の自分と違って、顔が紅潮しているのが自分でもわかる。
右手を股間に伸ばす。
「ほ、本当に今何もないんだ……」
いつもだったらそこにあるはずの、触り慣れたアレは影も形もなく、俺の手は虚しく空を切る。

ならば、もっと先に。
俺の股間は、すでにヌルヌルとした液体で満ちていて、それが今自分が女なんだということを際立たせていた。
やっぱり、ない……
手のひら全体で、股間の上を撫でるように触る。
股間から出た女の液体を、潤滑油のように引き伸ばすようにしながら、手のひら全体でマッサージするように撫で回していく。

「あっ…あん……これ、気持ちいい」
俺の声であって俺の声でない、あゆみちゃんの声でわざと喋らせることで、興奮がどんどん増していく。

「やば、これ、いい、すごい、とまらないよう」
クチョクチョクチョとリズムよく浴室に響き渡る音と、自分の喘ぎ声が淫靡さを更に際立たせ、俺の興奮物質をエンドレスに増していく。
これまでに感じたことのない快感。

してはいけないことをしている、しかも他人の身体で。
そんな背徳感を感じながら、自然と左手は乳首を摘む。

「ひいっ」
さっき乳首に感じた快感と、股間の相乗効果。
変なゾクゾクした感じが、たまらなく気持ちいい。

「あっ、ああっ、あっ、あっ、」
そのまま、自分についているはずもない大きく膨れ上がった乳首をコリコリと摘みながら、無限に股間から湧き出てくる液体を、手のひらで股間全体に塗るように撫で回す。
もう、声にならない。気持ちいい。

もう、ヤバい。イきそう……
ふと顔をあげた。
そこには鏡があった。
顔をピンク色に紅潮させて、だらしなく口を開けて、感じている女の顔がそこにあった。
手は乳首と、そして股間に。
オナニーしている女を見ながら、その女は自分で、俺がその女にこの表情をさせていて、
いや、こんなエロい表情をしているのは、俺自身。

「ああああああん!」
これまでに感じたことのない倒錯感と、快感の波に飲み込まれ、全身がビクビクと痙攣する。
俺は女として、あゆみちゃんとしてイッってしまった。

---

「はあ……」
俺はあゆみちゃんの部屋で、ため息をついていた。
俺は一旦はあの魔法陣で幽体になったが、おそらくあゆみちゃんと重なった瞬間、俺はあゆみちゃんの身体に憑依してしまったのだろう。

ふと下を見れば、自己主張を続けている俺の2つの柔らかい膨らみ。おっぱい。
浴室から出たところに脱ぎ捨てられていた下着の上に、ワンピースを着ている。
いまのスタイルのいい俺の身体には、このワンピースはとてもよく似合う。
付け方がわからなかったので、ブラジャーはしていない。

うーん、とりあえず、博也ともう一度会わないとな?
そろそろ、流石に隣の部屋に帰ってきていることだろう。
「そうと決まれば……」

俺は置いてあったストッキングを苦労して履いて、姿見で自分の見た目におかしなところがないか、確認した。
「よし、どこから見ても……あゆみちゃんだな!うふ♪」
俺はくるりと一回転して、可愛い声でそう言うと、ニヤリと笑った。
鏡の中のあゆみちゃんが、邪悪な笑みで綺麗に整った顔を歪める。

そして俺は、再び博也の部屋のインターホンを鳴らしたのだった。
ただし、博也の部屋の隣に住む職場の後輩の、あゆみとして。

プロフィール

みなづきななな

Author:みなづきななな
皆月なななです。 TSF(男が女になっちゃう)小説を書いています! Twitterもよろしくね https://twitter.com/nanana_minaduki

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